2024-02-14 ヤマザキパン工場地獄のバイト4日目

2024-02-14 ヤマザキパン工場地獄のバイト4日目



 6:00に目覚ましをセットしてたのだが5:50に自然に目が覚めた。ヤマザキパンでの作業で脳が停止して衰えそうだと思ったので、いつもの朝の脳トレ的な習慣をバイトの日にもやることにした。

 こんなことをやっている。①計算トレーング5分、②英語新聞を1段落、③勉強した内容の写経訓練。①と③gは1年〜2年くらいずっとやってる。②は始めたばっかりだ。こういった自作の計算を印刷して毎日やっている。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1ZwKmsjSHibDlSTKvw1g6oL5jltAl_GtW/edit?usp=sharing&ouid=107650473993954293651&rtpof=true&sd=true

やり始めたころは15分くらいかかってた気がするが、今は4:30〜5:00でやっている。著作権とかそういうのないので自由に印刷したり使ってみたりしてもらえると嬉しい。毎回数字はランダムで変わるように作っている。ぼくの自慢の自作計算ドリルだ。

 朝いつものバイトより少し早めに起きて30分かけてこれをやった。そのおかげか今日は脳の思考や感情が機能停止することはなかった気がする。それか、単にそういう作業に少しだけ慣れただけかも。

 

 今日はいつもの「かしいはまだんちいりぐち」のそばにいつも立っている警察が立番していた。今日は勇気をもらえてよかった。写真撮影に成功した。こんな感じで立っていて、それを見ていつも僕は「ぼくもがんばろう」と勇気をもらっている。



 ヤマザキパン工場に着いたら、また体温を測るの忘れてた。そして初日の写真の使い回しでOKもらった。

 今日は8:10と少し遅くついたので列は無くてスムーズに入れた。いつもどおりの準備と手続きをやった。

 朝のタダパンを食いに行った。なんか置いてあるパンはずっと同じ種類のものばっかりな気がしてきた。いつもは薄皮シリーズのケチャップハンバーグなんだけど、さすがに3日連続くらいだったせいか飽きたので違うのを選んだ。ランチパックのラ・フランスミルクと、同じ感じのランチパックのなんとかミルク。タンパク質の多さと脂質の低さで選んだ。どっちも似たような味だったのでなんとかミルクの方は何味だったか忘れた。変なフルーツのジャムだった気がする。

 

 洋菓子課での軽い朝礼の直前、ベテランバイトのおばちゃん二人の会話が耳に入った。「私先月はきつくて10日できなかったわ」「私も。8日しかできなかった。」「私も8日で限界だったわ」といった会話だった。どうやらベテランの人でも月に10日はきつくて出来ないらしい。作業場に入る列で真ん前にいた別のベテランのおばちゃんに聞いてみた。「すみません、少しお聞きしたいことがあるのですが。さっき別の方が◯◯と言っていたのですが、ベテランの方でもそれほどきついのでしょうか?」と。そしたらそのおばちゃんは「そんなことないわよ、ラクなもんよ、10日なんて軽いわ」と言っていた。すげぇなと思ったのだが、作業中の仕事を見ていたら、小柄な女性やおばちゃんは一番ラクな作業を割り振られているようだ。粉砂糖かけるだけとか、開いてるフタを占めるだけとか、そんなのばっかりだ。そりゃラクなはずだよ。一歩の僕はいつも通り一番過酷な作業を割り振られるのだった。

 

 今日の午前中はいつも通りにRSモンブランと書いてあるいつものトラウマモンブランの作業だったのだが、初めての作業を任された。最上流で番重(ばんじゅう)から50cm四方の正方形のでっかい生地を取り出して、はりついてる紙を剥がしてベルトコンベアに乗せる作業だ。また番重だよ。体ががっしりしてる男はだいたい番重にされてしまうことで確定だな。僕みたいな体ががっしりしてるやつは最上流と最下流での番重作業をやらされるというので確定なようだ。

 今日は1〜3日目よりも少しだけ、ほんのすこーしだけ作業がマシに感じた。理由はおそらく「腰を痛めない姿勢を意識したこと」と、「これくらいのきつさだ」「こんな感じの作業だ」というのを知ったからじゃないかと思う。全く知らないキツさや作業をやるのと、知ってる作業やキツさをやるのとでは疲労度がまるでちがう。知ってるなら覚悟ができるからだ。そのおかげか午前中の作業はほんの少しだけラクにこなすことが出来た気がした。

 

 お昼ごはんの時間だ。肉まんあるかなーと思いながら食堂に行ったらめっちゃたくさんあって嬉しかった。あまりにも嬉しくてお昼は肉まん1個、ピザまん2個、あんまん1個と中華まんだけだ。800Kcalと計算して食べた。今これを書いていて気がついたのだが今日の摂取カロリーは朝食の500Kcal+800Kcalで1300Kcalだ。これは痩せそう…。

 お昼ごはんをさっと食べていつも通り更衣室の一番奥のすみに断熱シートを敷いてアイマスクして、脚をリュックに乗せてスマホのバイブアラームを設定して寝た。30分確保できた。これをするのとしないとでは午後が全く違う。更衣室はいつも通りにぐったりと座り込んでいるアルバイトがたくさんいた。いつも通りだな。

 

 午後はまた初めての作業だった。まるごといちごのレーンに呼ばれて、入れるイチゴをアルコールの入れ物に入れて消毒する作業だ。イチゴ入れる前にあんなアルコールに漬ける作業してたんだな。社員の人は「イチゴの消毒」と言っていた。その作業がめちゃくちゃラクで最高だった。4日目にして最高の作業を割り振られてハッピーだった。しかし、たった10分で別の女性と交代させられて、僕は別の作業を与えられた。それが4日間の中でもとも難しくて最も過酷な作業だった。

 

 その最も難しくて最も過酷な作業はミルクレープを作る作業だった。ミルクレープってあれ全部手作業で乗せてたんだな…。ミルクレープを重ねる人は熟練アルバイトのおばちゃんだった。僕の役割は、そのおばちゃんがクレープを重ねる作業だけに集中できるようにその他全てをサポートする作業だった。これが複雑で過酷だった。

 おばちゃんが使う番重と完成したミルクレープの番重を絶妙なタイミングで僕が入れ替える。タイミングというのは、ミルクレープは12枚と決まっているからそれをカウントしないといけないのだ。番重ひとつにミルクレープは3つだ。そしてそれを重ねている間にミルクレープの間の生クリームを機械に投入しまくる。これがクソ重い。全部がステンレスでできたクソ重い行平鍋みたいなのを浸かってクソ重生クリームを山盛りすくって前のめりになってレーンの奥の生クリーム絞り機の機械に入れる。それをしながら、完成したミルクレープをアルコールで消毒&整形、上に薄紙を乗せて手のひらで抑えて平にする。それを完成した番重に重ねる。そして生クリームが入ったでかい容器のクリームが少なくなったらそれを交換する。書いてるだけで頭がおかしくなりそうだ。それを僕が同時に全部やらされた。最初はさすがにパニックになったがなんとかこなすころができた。こんなの初心者バッチをつけてるバイトにやらせることじゃ絶対にない。そういえば、僕がイチゴの消毒をやってるところにわざわざやってきて僕を指名してやらされることになった。もしかしたら僕ができるっぽいからとこんな難しくて複雑でくそきついのをやらされたんじゃないだろうか…。がんばればがんばるほどしわ寄せがくる社会の縮図のようだ。アメリカみたいに「余計な仕事はチップが発生する」みたいな仕組みがうらやましくてしょうがなかった。すぐそばでは女性アルバイトが「まるごといちごにいちごを3つならべるだけ」をやってるし、また別のところでは女性が「粉砂糖をかけるだけ」といった超絶ラクな作業をしていた。男女平等はどうした。ぼくだけこんなに過酷な作業をやらされるのはセクハラじゃないだろうか…。同じ時給でこんなにも作業の過酷さと難易度に差があるのは全く持って納得行かないと思ったが、僕は金のためではなくきつい思いを経験するために、苦行・荒行としてやっているので、それを理由にギリギリ耐えることが出来た。「きつい思いをするために苦行・荒行をするためにやっている」のだ。何度も言ってしまったが、ほんとうにそれだけが心の支えだった。

 

 ミルクレープは思ったより早く終わった。パニックになる寸前なくらい複雑極まりなくて死ぬほど重労働だった。次はいつもの商品の「取り」だ。初日に「取り」を経験したときはあまりのきつさと単調さに発狂しそうになって心が死んだものだが、ミルクレープ作りの地獄のサポートを経験したおかげで、あの発狂寸前だった「取り」がすごくラクで幸せな作業に感じた。これが苦行・荒行を乗り越えた効果か…。この「商品の取り」作業は初日からずっとやってきたので体が自然に動いてくれて1〜3日目よりかなり心の余裕がをもってやることができた。ただし、さすがに4時間同じ作業をさせられたらまた死にそうになった。昼の中華まん4つでは夕方すごくお腹がすいて力が入らなかったがなんとかやり抜いた。16時以降はその作業をしながら「ラーメン食べたい」「帰りにどんなラーメン食べようか」ばっかり考えてた。まぁ、僕はダイエット中で減量したいから我慢して何も食べずに帰るんだけどね。食べずに帰ると分かってはいても、「帰りにあれを食べたい、この店に行きたい」と考えると少しだけ心が楽になった。しかし実際は、そうでも考えていないとまた心が死んで発狂しそうなくらいきつかっただけなのだ…。

 

 最後の最後に16:30からワッフルがどとうのごとく僕がいる最下流に押し寄せてきた。直前に僕はきつさから逃れようと一工夫していた。作業工程についての用紙を覗き見しにいったのだ。それには「ワッフル1500」と書かれていた。それを知ったおかげで耐えることが出来た気がする。

 「いつまでも終わらない、いつ終わるかわからない」ものをひたすら続けるというのはとてもつらい。しかし、「あと◯◯」「全部で◯◯」と知っていればカウントダウンしながらなんとか耐えられるものだ。番重1つにつきワッフル10個入る。それを25段重ねて1単位とする。それを7回とう計算だ。ぼくは番重を持ってきたり、重ねたりする作業を屈伸運動をともないながら合計100回以上やったことになる。エネルギー不足でふらふらになりながら…。しかも腰にくる。なんとか腰にふたんがかからないように体勢に注意しながら作業した。おかげで腰は1〜3日目よりかはほんのすこーしだけ楽になった気がした。しかし、商品は3〜4秒で絶え間なく流れてくる。午後の5時間で4500個を作業したことになる。一日ぶっとうしでやったとすると1万弱か…。作業中あまりにも脳が麻痺してつらかったのでずっとそんなことを計算していたのだが、数字を考えるたびに途方もない数字が出てしまうので、考えるたびによけい発狂しそうになっていた。それでも1500という上限を意識してカウントダウンをすることでなんとか心を保つことが出来た。

 作業しながらこんなことも思っていた「こんなカスタードクリームワッフルなんてデブりそうで体に悪そうなもんを誰が1500個も食うんだよ。肥満とメタボがなくならないわけだ」と。すると隣の「まるごと◯◯」のレーンで失敗した廃棄する生クリームや生地を捨てるポリバケツの張り紙が見えた。「ブタが食べる生地」と書かれていた。「こんなん食ってたらブタになる」と思っていた矢先に同じものが「豚の餌」と書かれた容器に溜まっていくのを見てなんともいえない気持ちになった。まさにブタになっちゃ食べ物なんだな、と思った。

 

 作業工程の紙は歯科のユニット帳とそっくりなものだった。こんなかんじだったと思う。

 

    RSモンブラン

    3000

   |                    |

 

 1 9       10      11      12  

 レ

 | 

 ン

   20       21     22       23

 

なんと24時間の時間軸の表だ。レーンごとに横向きの時間軸があって、何をどれだけ作るかが書かれていた。

 

 ついでに思い出したのだが、偉い人っぽい人みんながみんなへんなものを来ていた。黄色の蛍光色のメッシュのベストなのだが、腹部と背中にこんな張り紙がしてある。

 

   転倒・転落の

   防止徹底

   床ドライ ヨシ!

 

という謎の注意書きだった。ヤマザキパン工場の作業を見ていて思ったのだが、ヒヤリハットやインシデント・事故を防止するための工夫がまったくなかった。フェールセーフもフールプルーフも皆無だ。すべて「気をつけるように」という根性論でのみのかいけつに依存していた。さっきの偉い人が着てた張り紙もそうだ。気をつけるだけで事故が防げるなら苦労はしないよ、と思った。足元には台車が不用意に転がってるし、通路として地面に貼られている白テープの移動路の上はゴミ箱や番重やその他色々なものが置かれていて全く機能していなかった。しかし、重大事故にはならないような性質の作業だからそれでもなんとかなっているんだろうな、と思った。医療現場で同じことやったら即重大インシデントだと思ってゾッとした。