2024-02-11 ヤマザキパンアルバイト記録。初めての休日

2024-02-11 ヤマザキパンアルバイト記録。初めての休日

 

奇妙な違和感

 

 10:30頃に目が覚めた。昨日はたしか23時頃に就寝したがうまく眠れなくて1:30頃に睡眠導入剤ゾルピデム飲んだのを覚えてる。直後から記憶がないから睡眠時間は9時間だろうか。しかしたっぷりと眠ることが出来た気がする。しかし案の定悪夢を見た。「ヤマザキパン工場で商品を番重(ばんじゅう)に詰める作業をやって間に合わなくて商品が氾濫する」夢を見た。最悪な夢だ。こういう「夢にまで出る」というのはよく聞く話だが、本当に体験してしまうととても辛い。たっぷり眠ったはずだうまく疲れが取れてない。

 布団から起きようと思ったが全身の疲労感で体が動かなくてやばいと思った。起きてからいつもの朝のルーティンである坐禅瞑想3分と軽い筋トレをやった。筋トレはいつもは50回を3種目やっていたのだが、アルバイトを始めてからは体が疲労の極地に達していたので、習慣がなくならないように程度にだけやろうと3種目10回だけやっている。

 起きてとても寒くて体の疲労を癒したいと思って久しぶりに風呂に浸かるかと思った。風呂を入れてる間にアルバイト開始前によく飲んでいたきなこ牛乳を飲んだ。そして風呂に浸かってなんとも言えない恐ろしい違和感を感じた。何かがおかしい、何かがとても変だ。何か分からないが何かが決定的に違ってしかもとても恐ろしい。うまく分からないがたしかな異変に気づいた、いや気づくことが出来た。じっくりを自分を観察してみてやっと分かって急にゾッとした。熱い風呂に入っているはずなのに体が恐怖で震えるのを感じた。

 違和感の正体は、「自分から感情と思考が消えてしまっていた」ことだった。僕はお風呂に浸かるのが好きでいつも熱い風呂に浸かると「ああ気持ちがいい!幸せだ!」と心から感じていた。それが全く消え失せていた。ただ熱い風呂に入っているだけという感覚になっていた。以前の気持ちが良くて幸せだという記憶と今の差をわずかな違和感として気づくことが出来たのだ。そういえばさっきのきなこ牛乳も変だ。ぼくはこのきなこ牛乳が大好きで、いつも飲むたびに「ああうまい!最高だ!」と思って飲んでいた。しかしさっきのきなこ牛乳を飲んだときに全く何も感じないしなんなら味わった記憶すら無い。完全に感情が消え去って思考力が停止している。その事に気づいて心底ゾッとした。

 そういえば昨日とか一昨日とか、アルバイト中に「過酷な作業での記憶がなくなっていつのまにか時間が過ぎていた」というときは何も感じなくなってただ体だけが無意識に自動で動いているだけだった。「万能鑑定士Qの事件簿」という小説・漫画で書いてあったのだが、「反復練習は脳の構造そのものを作り替えてしまう」とあった。勉強でもスポーツでもさまざまな反復練習はそれによって脳の構造そのものを作り替えて最適化してそれを自然に行うようになる。そのことを思い出してヤマザキパンでの過酷な作業を思い返してみた。きつい作業をただ感情と思考を停止させて体だけを自動で動かし続ける。それによって僕は今日起きてからただの人間機械という感情がなくなった機械になっていた。たまたまお風呂に浸かることで偶然そのことに気づくことが出来た。

 

 僕自身から感情が消え去って思考力が完全に停止していた。いや、僕はヤマザキパンから感情と思考力を奪われて精神の奴隷・機械に改造されていたのだ。数千回数万回という反復作業を通して僕はヤマザキパンから少しずつ感情と思考力を奪われ続けていた。一回一回はわずかでもそれが数万も重なると絶大な効力となる。しかもしれはとてつもない反復練習だ。このまま気づかずに続けていたら僕はヤマザキから完全に感情と思考力を奪われて脳を改造されて感情と思考力をなくしたただの無機質な機械のような人間にされていたことだろう。その事に気づいてぼくは「まじでやばい」と震えが止まらなかった。

 昨日の作業中にも今思えば異変があった。作業の区切りで掃除に入ったときに僕はなぜか動けなくて立ったまま呆然としていた。元々僕は自分で考えながら積極的に動くタイプだった。しかしそのときは考えられずに何をやったら良いのかも分からずに何も考えられずに思考を停止して呆然と立ちつづけているだけだった。いわるゆる「指示待ち人間」に成り下がっていた。その時は全く気が付かなかったが今思えばこのときすでに感情や思考力が完全に停止して何もできなくなってしまっていたんだ。

 これとよく似た状態には心当たりが合った。ロボトミーだ。別名「前頭葉切断術」。感情や思考を司る前頭葉を切断することで、鬱や精神病の患者から感情と思考を消し去っておとなしくさせる非人道的手術だ。お風呂に浸かりながら自分がロボトミーを施されたという人の状態と全く同じ状態になっていたことに気づいた。ヤマザキパンの過酷な単純作業の苦行はまさに「非侵襲的ロボトミー」そのものだった。

 なんかどこかで聞いたことある話なのだが、「手のつけられないヤンキーや不良や非行少年に単純作業の労働をさせて社会で働くことを通して更生させる」みたいな話を聞いたことがある。これたぶんそうじゃない。これは単純作業の反復練習を繰り返しさせてヤンキー不良から感情と心を奪って非侵襲的ロボトミーをしてるだけだ。ぱっと聞いただけでは「ただ労働を通して不良を更生」なだけなのだが、実際に行っていることは「手のつけられないヤンキーの脳に穴を開けて脳を外科的に切断してヤンキーから心と感情を奪い去って大人しくさせてる」のと全く同じだ。

 僕はその事に気づいてこう思った。「なんとかしてヤマザキパンから奪われた心と感情と思考力を取り戻さないといけない。今の僕はヤマザキパンに機械に改造されてしまってただの無機質な人間機械になっている。だからさっきから違和感を感じていたんだ。違和感を感じているというとはまだ奪い尽くされたわけじゃない。なんとかして心と感情と思考力を回復させなければ!!!」あまりの恐怖でお風呂に浸かりながら必死に対策を考えた。

 まず、今までやっていたように朝に5分の計算トレーニング、25分の国試臨床問題のカルテ風写経トレーニング、10分の英語新聞1段落読解トレーニングを再開させよう。掃除や洗濯といった家事もしっかりと考えながら行おう。ブログも書いて書きながら情報と思考を整理して脳を活性化させよう。もしかしたらこの3日間、アルバイト終わって1〜2時間ブログを書いて脳を活性化冴えていたから今日異変に気づけるくらいに心と思考が保てていたのかもしれない。まじでやばい。まじでなんとかしないと。そういえば昨日の帰りに工場の入口で鏡に写った自分を見て「今までと違った印象を受けた」のだが、それたぶん自分が立派になったりたくましくなったりしたわけじゃない。それたぶん僕がヤマザキパンから感情と心を奪われて顔から感情が抜け落ちて仮面様顔貌になっていただけだ。

 こういった過酷な単純作業の繰り返しをする仕事は長く続けたらいけない。脳と心を蝕まれて機能停止して完全に感情と思考力が奪われて無機質な機械のような人間になってしまう。そしてそのようにならないためには何らかの特別な対策や習慣が必要だと思った。

 

 おそらくアルバイトや派遣で入ったばかりのひとはあまりの過酷さですぐに来なくなってしまうんだと思う。生ケーキの場所にアルバイトや派遣が30〜40人ほどいたのだが、ベテランのアルバイトはわずか3〜4人だった。ベテランらしいアルバイトだけはネームプレートが特注の立派なやつなので分かった。その他全ては5日間の人用の初心者プレートを着けている。これは妙だ。これはつまりこういうことだ「アルバイト・派遣は来ても5日以内で全てが来なくなっていて、残ったのは今まででわずか数人しかいない。毎日新しい人が来ては5日以内に来なくなってを繰り返している」ということだ。恐ろしい現状だ。どれだけ過酷で割に合わない仕事なのかが現れている状態なのに今気づいたよ。

 

 そいえば洋菓子課の壁に正社員の情報が貼ってあったよ。出身学歴、出身地、趣味とか。出身学歴は全員高卒で大卒すらひとりもいない。しかも高校は「なんとか工業高校」とか「なんとか水産工業」とか「なんとか総合なんとか高校」とかいうやつ。僕の地元ですら「工業高校」とか「水産工業」とかは一番偏差値が低くてヤンキーや勉強できない人しか行ってなかった。まぁ今の僕はそういう人たちから顎で使われて、そういう正社員の半分の給料で奴隷同然に人間機械として働いているわけだ。

 別に差別とか見下すとかしているわけではない。ただ、「僕の今までの人生での勉強や努力が全く報われてなくて悲惨だな」ととても悲しくて惨めな気持ちになっているだけだ。そして、ぼくが目指しているような頭や感情を使う仕事とは絶望的に相性が悪いと言うだけだ。勉強をしてこなかったり頭を使うのが苦手にな人たちには相性の良い仕事だと思う。どれが良くてどれが上とかそういうのじゃなくて、どのような人間にも適材適所があるということだ。

 何度も言うが、他社を卑下しているわけではなく、僕が一人で勝手に悲しい現状に対して悲しい気持ちになっているだけだ。そこのところは念を押しておきたい。そこんとこ注意しとかないと絶対にどこからか文句が来るからね。

 

 それにしても、北朝鮮のスローガンが眩しいよ。「資本主義からのプロレタリアートの開放」だっけ。資本主義辛すぎて共産主義に目覚めたくなってきたよ。社会主義国に亡命しようか本気で考えるレベルさ。貧乏でいいからもう少し楽に生きたい。貧しい人たちに共産党が多い理由がよく分かった、いやなんかもう身にしみた。

 

 これを書きながら停止していた思考力が動き始めた感覚になっている。本気で恐ろしくなっているので今から計算トレーニング、写経、その他色々とやりながら、ヤマザキパンから奪われた心と脳を取り戻して、がんばって機械から人間に戻るよ。




 夕方、友人達が食事に誘ってくれて行ってきた。みんな優しくて楽しくて、みんなとお話できて、みんなのおかげで機械から人間に戻ることが出来たきがした。