甲南医療センター医師過労自殺事件

甲南医療センター医師過労自殺事件
2023-08-19

医師が過酷で大変な仕事なのは理解できるし、ラクにさせる余裕がないことも理解できるが、
自殺するまで追い込んでは国の金も無駄になるし他の医師にしわ寄せが行くし、みんなが不幸になるので、
最低限自殺せずに済む程度には抑えるべきではないか



以下に引用元のニュース記事をスクラップしておく。
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26歳医師自殺で労災認定、残業月約200時間 病院「自己研鑽含まれる」
2023/8/17 19:32 産経WEST

自殺した医師の労災認定を受け会見する甲南医療センターの具英成院長=17日午後、神戸市東灘区(弓場珠希撮影)
自殺した医師の労災認定を受け会見する甲南医療センターの具英成院長=17日午後、神戸市東灘区(弓場珠希撮影)
神戸市の基幹病院「甲南医療センター」の男性医師=当時(26)=が昨年5月に自殺し、西宮労働基準監督署兵庫県西宮市)が労災認定していたことが17日、病院への取材で分かった。病院が設置した第三者委員会の調査報告書では、長時間労働によって精神疾患となったことが原因で死亡した可能性が指摘されたという。

病院によると、死亡したのは高島晨伍(しんご)さん。神戸大卒業後の令和2年4月に研修医、4年4月からは消化器内科で「専攻医」(旧後期研修医)として研修を受けながら診察を担当していた。昨年5月17日、自宅で自殺しているのが見つかった。

三者委が認定した時間外労働は、同年4月が197時間36分。5月も死亡するまでに約133時間に達していた。

国が定める精神障害の労災認定基準では、直前1カ月間の時間外労働が160時間以上、3カ月平均で月100時間以上としている。

認定された時間外労働について、具英成(ぐえいせい)院長は記者会見で、高度な専門性を身に着けるための「自己研鑽(けんさん)」や睡眠時間などが含まれているとして、「全てが労働時間にあたるわけではない」との見解を示した。その上で、「高島さんの自主性を考慮した職場環境だった。過重な労働を課していたという認識はない」と主張した。

一方で病院は今月、労基署が認定した労働時間に基づく未払いの残業代と同額の約130万円を遺族に支払ったという。
https://www.sankei.com/article/20230817-AJTFVCZYF5JTZLKPM7CHAFQPTM/

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神戸の26歳専攻医自殺、労災認定 残業月207時間
毎日新聞  2023/8/18 20:17(最終更新 8/18 20:17)
記者会見で自殺した高島晨伍さんの遺書を涙ながらに読む母親の淳子さん=大阪市北区で2023年8月18日午後1時28分、梅田麻衣子撮影
 神戸市東灘区の病院「甲南医療センター」に勤務していた男性医師(当時26歳)が自殺したのは長時間労働うつ病を発症したのが原因だとして、西宮労働基準監督署が労災認定した。遺族が18日、記者会見して明らかにした。亡くなる直前まで100日間連続で勤務して時間外労働は月200時間を超えていたといい、遺族は「病院側は具体的な再発防止策を取っておらず、人の命を軽視している」と訴えている。

 医師は高島晨伍(しんご)さん。遺族側によると、2020年4月に同センターに採用され、22年4月から消化器内科で専門医を目指す「専攻医」として働いていた。研修を受けながら診療に当たっていたが、翌5月17日の勤務後に自宅で自ら命を絶った。

 23年6月5日付の労災認定によると、死亡直前1カ月間の残業が207時間に上り、精神障害の労災認定基準を大幅に上回っていた。労基署は「専攻医になったばかりで先輩医師と同様の業務を割り当てられ、リポート作成や学会発表を指示されたことで極度の長時間労働になった」と指摘。それによって、うつ病を発症したことが自殺の原因だと判断した。

 会見した母淳子さん(60)によると、亡くなる1カ月ほど前から高島さんの顔色が悪くなり、部屋にはごみが散乱していたという。「息子は優しい医師になりたいと言っていた。病院にとって医師の代わりはいくらでもいるかもしれないが、家族にとってはかけがえのない宝物だった」と涙を拭った。

記者会見で自殺した弟の高島晨伍さんの長時間労働や病院の対応などについて話す医師の兄=大阪市北区で2023年8月18日午後1時12分、梅田麻衣子撮影
病院側「過重労働させた認識ない」
 一方、病院側は17日、「過重な労働をさせた認識はない。学会発表を強制的に課したこともない」と反論した。労基署が認定した労働時間には、技術や知識を磨く「自己研さん」の時間が含まれていると主張。高島さんが申告した22年4月の残業は約30時間だったとしている。一方、病院が設置した第三者委員会はタイムカードの記録を基に、22年4月の残業が約197時間、5月は約133時間と認定した。

 遺族は第三者委の調査報告書の公表を求めているが、病院側は応じていない。医師でもある兄(31)は会見で「200時間超の残業はあり得ない。専門医になるために学会発表は必要で、自己研さんではなく業務の一環だ。病院は弟の死に誠実に向き合っているとは思えない」と訴えた。

 遺族は22年12月、病院の運営法人を労働基準法違反の疑いで西宮労基署に刑事告訴した。損害賠償を求める訴訟を起こすことも検討している。【安元久美子、山本康介】

https://mainichi.jp/articles/20230818/k00/00m/040/224000c
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専攻医が過労自殺、院長「過重労働させた認識ない」…自己研さん時間で労基署と「見解相違」
2023/08/17 23:10

スクラップ
記者会見する甲南医療センターの具英成院長(右)ら(17日午後、神戸市東灘区で)=長沖真未撮影
 神戸市東灘区の「甲南医療センター」で男性専攻医(旧後期研修医)の高島晨伍さん(当時26歳)が過労自殺した問題で、甲南医療センターの 具英成ぐえいせい 院長は17日、記者会見し、「病院として過重な労働をさせた認識はまったくない」と改めて長時間労働の指示を否定した。

 センターでは、タイムカードで出退勤時間を記録していたが、労働時間は医師の自己申告に基づいて管理していた。労基署は、高島さんの死亡前1か月の時間外労働を、精神障害の労災認定基準(月160時間以上)を上回る207時間と認定した。

高島晨伍さん=遺族提供
 高島さんがセンターに申告した死亡前月の時間外労働は「30・5時間」だったという。具院長は、労基署の認定には、労働にあたらない自主的な「自己研さん」の時間が含まれているとの見方を示し、「見解に相違がある」と述べた。

 自己申告で労働時間を管理していることについては、「医師は自由度が高く、労働と自己研さんの切り分けは難しい」と説明。高島さんの自殺を受け、今年1月から、自己研さんの時間も報告させる運用に改めたが、自己申告の方式は変えていないという。

 具院長は「高島医師に哀悼の意を表します」と述べたが、自殺の原因は「わからない」と繰り返した。

 センターは、労基署が認定した労働時間に基づき、未払い残業代130万円を遺族に支払ったことも明らかにした。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230817-OYT1T50251/
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26歳医師が自殺で遺族会見 “極度の長時間労働”で労災認定
2023年8月18日 19時15分 

亡くなる直前の1か月の時間外労働は、207時間余り。
およそ3か月間、休みはありませんでした。

去年、神戸市の病院に勤務していた当時26歳の医師が自殺し、労働基準監督署が極度の長時間労働が原因だとして労災と認定した問題で、医師の母親などが会見を開き「病院は労務管理をしておらず、労災認定されても息子は帰ってこない」と訴えました。

目次
亡くなる直前 およそ3か月間休みなし

母親「労災認定を受けても息子は帰ってきません」

これまでの経緯や「専攻医」とは
亡くなる直前 およそ3か月間休みなし
会見を開いたのは、神戸市東灘区の「甲南医療センター」に勤務し、去年5月に自殺した高島晨伍さん(当時26歳)の母親と兄です。

高島さんは、3年前から研修医として勤務し、より専門的な技術や知識を学ぶ「専攻医」として消化器内科で研修を受けながら患者の診療を行っていましたが、去年5月に自殺しました。

遺族の代理人弁護士によりますと自殺する直前の1か月の時間外労働は207時間余りにのぼり、およそ3か月間、休みはなく、西宮労働基準監督署は、極度の長時間労働が原因だとしてことし6月、労災に認定したということです。

母親「労災認定を受けても息子は帰ってきません」 
母親の高島淳子さんは、「優しい医師になりたいと夢を持っていました。病院は労務管理をしておらず、労災認定を受けても息子は帰ってきません。家族にとっては泣いて笑って育てた宝物です」と訴えていました。

また、高島さんは、診療のほかにも、上司からの指示を受けて学会で発表するための準備にも追われていたということです。
しかし、病院側は「業務ではない」と主張しているということです。

兄「病院には長時間労働に向き合ってもらいたい」 
これについて、みずからも医師である高島さんの兄は「3年目の医師にとってはすべてが業務だと思う。弟が過労であることを訴える環境がなかったのではないか。病院には長時間労働に向き合ってもらいたい」と話しています。

今後、遺族は病院を運営する法人に対して損害賠償を求める訴えを起こすことを検討しているということです。

「おかあさん、おとうさんへ」残された手紙 
高島晨伍さん(26)は両親に向けて手紙を残していました。

「おかあさん、おとうさんへ」と書かれた手紙には「本当に感謝しています。最後にお母さんが来てお父さんが電話をくれたこと嬉しかったです。幸せでした。」と両親への感謝がつづられています。

そのうえで「おかあさん、おとうさんの事を考えてこうならないようにしていたけれど限界です」と記しています。

また、「お母さんへ改めて」と母親に宛てて「もっといい選択肢はあると思うけど選べなかった。本当に本当に有難う。自責の念は持たないで大好きです。」と結んでいます。

病院側「過重な労働をさせていた認識はない」 
神戸市東灘区の「甲南医療センター」は17日、記者会見を開き「過重な労働をさせていた認識はない」などと説明しました。

会見によりますと、同僚や上司の話では高島さんは仕事熱心で、朝早くから夜遅くまで勤務していたということです。亡くなったことを受けて設けられた外部の医師や弁護士で作る病院の第三者委員会が出退勤の記録を調べたところ、

▽亡くなる前の月の去年4月の時間外労働は197時間36分
▽5月も亡くなるまでに133時間15分だったということです。

一方で、病院は「出勤している時間すべてが労働時間ではなく、自己研さんや休憩も含まれる」として、医師が申告した分だけを時間外労働として把握し、高島さんの去年4月の申告は30時間30分だったということです。

これについて具英成院長は「医師の働き方には自由度の高い部分があり、個々の医師でないと正確な労働時間を把握するのは難しい」とした上で「過重な労働をさせていた認識はない」と述べました。

病院によりますと、高島さんは入院患者6、7人を担当していたほか、学会発表の準備もしていたということですが、病院側は、「こういう学会があるので発表しないか」と上司が声をかけたもので、病院の業務として命令したものではないと説明しています。

一方で病院は、高島さんが亡くなったことを受けて、ことし1月以降、出勤時間のうち▽所定の勤務時間と▽申告した残業以外に具体的に何をしていたか上司に報告するよう医師に義務づけたということです。

来年4月開始「医師の働き方改革」とは 
勤務医の時間外労働に上限を設ける「医師の働き方改革」は来年4月から始まることになっています。

時間外労働の上限規制は多くの企業では2019年から適用されていましたが、患者への影響を考慮して勤務医については5年間猶予されていました。

来年4月からは勤務医も労働基準法に基づき、休日や時間外労働の上限は「年960時間」と、「月間100時間」までとなります。

地域の医療提供体制を維持するためにやむをえず上限を超える場合は「年1860時間」、1か月の平均で155時間という特例の水準も設定されていますが、2035年度までを目標に終了するとしています。

改革の背景「自己犠牲的な長時間労働によって支えられている」
働き方の見直しが行われる背景にあるのが、医師の長時間労働です。

国の検討会が2019年にまとめた報告書では、日本の医療について「医師の自己犠牲的な長時間労働によって支えられている」と指摘されています。

同じく2019年に厚生労働省の研究班が行った「医師の勤務実態調査」では、時間外・休日労働時間について、病院の常勤勤務医のおよそ4割が一般的に「過労死ライン」とされる年間960時間を超え、さらにおよそ1割は年間1860時間を超えていました。

特に救急や産婦人科、外科、若手の医師は長時間労働の傾向が強くなっています。

自己研さんは労働時間に含まれるか
勤務医が診療や業務のかたわらで行う知識の習得や技能の向上を図るための学習といった「自己研さん」について国は通達を示していて、労働時間に該当するケースとしないケースがあるとしています。

労働時間に含まれるケースとしては▽所定労働時間内に医師が上司に指示された場所で行う場合や▽所定労働時間外でも上司の指示によるものであるとされていて、上司の指示がある場合には診療などの本来業務と直接の関連性がなかったとしても労働時間に該当するとしています。

また、学会や外部の勉強会などは参加しないことで人事評価などで不利益がある場合は労働時間に該当するとしています。

一方で、所定労働時間外に本来業務と直接、関連性がなく上司の指示がない場合には労働時間には該当しないとしています。

ここでは上司や先輩医師から論文の作成などを奨励されている事情があったとしても、業務上必要ではない行為を所定労働時間外に行う時間は該当しないと考えられるとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230818/k10014166761000.html

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「誰も助けてくれない」 過労自殺の26歳医師100日連続勤務、遺族は損賠請求を検討
2023/8/18 18:55 産経WEST

高島晨伍さんの遺影を持ち会見する母、淳子さん=18日午後、大阪市北区
高島晨伍さんの遺影を持ち会見する母、淳子さん=18日午後、大阪市北区
神戸市の基幹病院「甲南医療センター」の男性医師=当時(26)=が長時間労働の末に昨年5月に自殺し、西宮労働基準監督署が労災認定した問題で、遺族が18日、大阪市内で記者会見し、死亡まで100日連続勤務していたと労基署が認定したことを明らかにした。すでに病院の運営法人などを労働基準法違反罪で同労基署に告訴しており、損害賠償請求訴訟も検討している。

死亡したのは高島晨伍(しんご)さん。令和2年4月に研修医、4年4月からは消化器内科で「専攻医」(旧後期研修医)となったが、昨年5月に自宅で自殺した。

労基署の認定によると、死亡約3カ月前から休日がなく、直前1カ月間の時間外労働は207時間50分。3カ月平均でも月約185時間で、国が定める精神障害の労災認定基準(1カ月160時間以上、3カ月平均で月100時間以上)を大幅に上回っていた。

母、淳子さん(60)によると、晨伍さんは医師である父に影響を受け、同じ道を志した。「優しい医師になりたい」と熱心に仕事に取り組んでいたが、昨年2月ごろから業務量が増え、死亡直前には「しんどい」「誰も助けてくれない」とこぼすようになった。

遺書には「知らぬ間に一段ずつ階段を昇っていたみたい」「おかあさん、おとうさんの事を考えてこうならないようにしていたけれど限界です」などとつづられていたという。

淳子さんは「病院からはいまだに正式な説明や改善策の提示はなく怒りを感じる。息子の人生を傷つけたことに向き合い、誠意をもって対応してほしい」と訴えた。

一方、病院の具英成(ぐえいせい)院長は17日に記者会見し、認定された時間外労働には、高度な専門性を身に付けるための「自己研鑽(けんさん)」や睡眠時間などが含まれているとして、「全てが労働時間にあたるわけではない」と主張。「自主性を考慮した職場環境で、過重な労働を課した認識はない」との見解を示している。

残業月約200時間 病院「自己研鑽含まれる」

https://www.sankei.com/article/20230818-C3AB7IFXN5NX3FU5UAZG5LQIK4/
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過労自殺した若手医師、「限界です」両親へ遺書…病院側は長時間労働の指示否定
2023/08/17 05:00

スクラップ
 神戸市東灘区の「甲南医療センター」の専攻医だった高島 晨伍しんご さん(当時26歳)が過労自殺した問題で、高島さんは生前、仕事で追い込まれていく心情を母親に吐露していた。センターは長時間労働を指示したことを否定しており、遺族は不信感を募らせている。(田中健太郎)

「土日も行かないと回らない」
高島晨伍さん=遺族提供
 <知らぬ間に一段ずつ階段を 昇のぼ っていたみたいです。おかあさん、おとうさんの事を考えてこうならないようにしていたけれど限界です>。高島さんが両親に宛てた遺書には、そうつづられていた。

 母親の淳子さん(60)によると、高島さんは父親が消化器内科の医師で、中学生の頃から医師を目指していた。複数の同僚によると、2020年4月にセンターの研修医となった後、内視鏡操作の練習などに熱心に取り組んでいたという。

 しかし、専攻医になる直前の22年2月頃から、救急対応などで深夜に及ぶ残業が続くようになった。高島さんはこの頃、大阪で暮らす淳子さんに「朝5時半に起きてタクシーで出勤し、午後11時に帰宅している」「土日も行かないと業務が回らない」と話していた。

 淳子さんは心配して高島さんの神戸市の自宅を訪ねたが、4月以降は部屋はごみが散乱し、口数も減った。診療の忙しさに学会で発表する資料作成も重なり、5月に入ると「しんどい、しんどい、疲れた。2月から休みなしや」と漏らすようになったという。

母親「息子を守れなかった」
 亡くなる2日前、高島さんは、センターまで迎えに来た淳子さんの顔を見た途端に泣き出した。「今週締め切りの学会の資料ができない。あかんあかん」と取り乱し、淳子さんは翌日も高島さんを訪ね、休職を提案した。しかし、「休職したら職場に戻れない」と受け入れなかったという。

亡くなった5月17日の昼、高島さんから「変な気を起こさんようにするから」と書かれたメールが淳子さんに届いた。返信しても電話をしても反応がなく、自宅に向かうとクローゼットで死亡しているのを見つけた。

 遺書には<お母さんに 辛つら い思いをさせるのが苦しいです><もっといい選択肢はあると思うけど選べなかった>とも書かれていた。

 淳子さんは「あんなに追い詰められていたのに、息子を守れなかった。息子に何と言って謝ったらいいかわからない」と悔やみ、家のクローゼットを今も開けることができないという。

長時間労働、病院側は指示否定
 センターは取材に対し、高島さんに長時間労働を指示したことを否定している。西宮労働基準監督署は、出退勤記録を基に高島さんの労働時間を認定したが、センターは、院内にいる時間には、知識や技能を習得するための「自己研さん」の時間が含まれ、全てが労働時間ではないと主張。勤務医らには、センターにいる時間のうち「業務時間」と「自己研さんの時間」を分けて申告するよう指示していたという。高島さんが、自己申告していた残業時間はほとんどなかった。

 センターは取材に「高島さんが熱心に働いていたことは事実。医師の自己申告に任せ、勤務状況の十分な管理ができていなかった」と釈明し、今は上司によるチェックを徹底しているという。

 淳子さんは「息子の同僚からは残業を申告しにくい空気があったと聞いている。指示がなければ、あんなに追い込まれることはなかった」と反発している。

        ◇

「自己研さん」過重労働の温床
 2024年から「医師の働き方改革」が始まり、時間外労働の罰則付き上限が導入される。しかし、若手医師に必要な「自己研さん」の時間は労働時間に含まれないとされ、過重労働の温床との指摘もある。

 時間外労働は、労使協定を結べば事実上「青天井」だった。上限規制は、一般企業で19年から適用され、十分な医療が提供できなくなるとして、医師は5年間猶予された。上限も年960時間(月平均80時間)と一般労働者(年720時間)を上回り、技能取得が必要な研修医らは特例で年1860時間(月平均155時間)まで認められる。

 今回、認定された高島さんの時間外労働は月207時間に上り、3か月平均でも185時間。センターの労使協定に基づく上限を超え、新設される上限も大幅に上回る水準だった。

来年から規制…残業上限に含まれず
 だが、新設される残業時間の上限に、自己研さんの時間は含まれない。

 国は19年7月、通達で自己研さんの考え方を示した。上司に指示されて行う勉強や、一般的な診療や自身の手術の予習などは労働時間とし、学会も参加しないことで不利益がある場合は労働時間に該当する。業務に不要な論文作成を上司の指示なく行う場合は、働いたとみなされない。

 研修医や専攻医ら若手医師の過労自殺は後を絶たない。16年1月には新潟市民病院で当時37歳の女性研修医が自殺。15年7月にも東京都内で30歳代の男性研修医が自殺し、いずれも労災認定された。

 男性研修医の代理人を務めた川人博弁護士は「若手医師は仕事に不慣れなのに業務量が多く、上司に業務過多を主張できないケースも多い。自己研さんと労働の境界はあいまいで、来年から規制が導入されても、骨抜きにされる可能性がある。業務量に対して医師の数が十分か、病院だけでなく、国全体で考える必要がある」としている。

        ◇

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230817-OYT1T50044/

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遺書『無理をするのに限界が』自殺した医師は100日間の連勤も 遺族は病院側を提訴へ
2023/08/18 18:00
長時間労働の末、医師が自殺した問題。遺族が病院側を提訴する方針です。

 神戸市東灘区にある「甲南医療センター」に勤めていた高島晨伍さん(当時26)。3年前から研修医として働き始め、去年4月からは専門的な研修を受ける消化器内科の専攻医として勤務していましたが、去年5月、退勤後に自宅で自殺しました。

 残された遺書には次のようなことが書かれていました。

 【遺書より】「病院スタッフの皆様 少し無理をするのに限界があったみたいです。何も貢献出来ていないのにさらに仕事を増やし、ご迷惑をおかけしてすいません。お母さんへ改めて 嫌な思いをさせてごめん。もっといい選択肢はあると思うけど選べなかった」

 遺族は去年9月に労災を申請。西宮労働基準監督署は今年6月、「極度の長時間労働により精神障害を発症し自殺した」などとして労災認定しました。高島さんは100日間連続で勤務し、死亡前の1か月間の時間外労働は207時間あまり、3か月平均も185時間を超えていたといいます。

 遺族は今後、慰謝料などを求めて病院を運営する法人を提訴する方針です。

 (晨伍さんの母親 高島淳子さん)「もう息子は、優しい上級医になることも、患者さんを救い社会に貢献することもできません。ただ今後同じことが二度と起きないように、医師らの労働環境が改善されることを切に希望します」

 一方、病院側は「過重労働は課しておらず、(労基署が認めた)時間外労働には自学自習や睡眠の時間も含まれている」などとしています。

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20230818/GE00051831.shtml

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甲南医療センター過労自殺 遺族が会見「医師を守れない病院に患者を守れるのか」
2023/8/18 21:07

高島晨伍さんの写真を手に涙を拭う母淳子さん=18日午後、大阪市北区
高島晨伍さんの写真を手に涙を拭う母淳子さん=18日午後、大阪市北区高島晨伍さんが使っていた白衣や聴診器
 甲南医療センター(神戸市東灘区)の医師、高島晨伍さん=当時(26)=が長時間労働が原因でうつ病を発症して自殺したとして、西宮労働基準監督署が労災認定した問題で、遺族が18日、大阪市内で会見を開いた。母淳子さん(60)は「医師を守れない病院に患者を守り救う資格はあるのか」と涙ながらに訴えた。遺族は違法な残業があったとして昨年12月、労働基準法違反容疑で、センターの運営法人「甲南会」(同区)などを西宮労基署に刑事告訴したという。

 遺族らによると、高島さんは同センター消化器内科の専攻医(旧後期研修医)だった昨年5月17日夕、センター近くの1人暮らしの自宅で自殺した。2月6日を最後に休日がなく、西宮労基署が認定した直前1カ月間の時間外労働は、国の精神障害の労災認定基準(160時間)を上回る207時間50分に達していた。

 会見で淳子さんは「『優しい上級医になりたい』と話していた心優しい大事な息子は帰ってこない」と話した。高島さんが淳子さんらに宛てて残した「嫌な思いをさせてごめん。もっといい選択肢はあると思うけど選べなかった」などとする遺書も読み上げられた。

 高島さんの兄(31)は、高島さんが生前、淳子さんに「『コロナで病院の収益が減った。常識的な残業申請をするように。若い頃から経験より金を取るのは駄目だ』と(センターで)言われた」と話していたと明かした。センター側が今月17日の会見で「過重労働だった認識はない」「自殺の原因は分からない」などと主張したことに対し「弟の死を軽視している」と憤った。

 この問題を巡っては、センターが原因調査の第三者委員会を設置したが、報告書を遺族に開示していないことも判明。センターは、報告書に「職員のプライバシーが含まれる」ため、第三者に公表しないことを条件に遺族に開示するとしたが、遺族側は「当初から、社会に公表できる調査結果の作成をお願いしていた」と反論している。遺族の代理人弁護士は「不誠実な対応が続くのであれば提訴も検討する」としている。(谷川直生、竜門和諒)

https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202308/0016714328.shtml

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