[人生案内]自慢出来ない我が子

2022/05/24 05:00



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[人生案内]自慢出来ない我が子

2022/05/24 05:00

 

 50代の会社員女性。末っ子の高校入試が終わりました。地元の進学校へ進学できた子は一人もいませんでした。

 

 わたしの同級生の子どもはみんな進学校に行き、有名大学に進学。学校の名を事あるごとに口にするので、同級生とは付き合いを絶ちました。子どもが通っていたピアノ教室でも、上手な子はみんないい学校へ行き、コンクールで賞を取ります。どうせ同じようには弾けないだろうと思い、10年間レッスンを受けていましたがやめました。

 

 子どもをいい大学に入れて、自慢したかったのに全く逆になってしまいました。優秀な子の親が羨ましくて仕方ありません。自分の子の出来の悪さが恥ずかしい。入試結果で思い悩むのが嫌で、ここ数年は他人と距離を置いていて、今後もそのつもりですが、やっていけるでしょうか。(福島・Y子)

 

◇大日向 雅美(大学学長)

 

 子どもは親のアクセサリーではありません。自慢の道具でもありません。また進学先やコンクールの成績だけで、子どもの真価を測るのも大きな間違いです。

 

 親が大切にすべきは、わが子がどれだけその子らしい目標を見いだし人生を幸せに生きられるかです。たとえ思い通りにいかないことがあったとしても、あきらめずに投げ出さずに取り組み、他者を思いやることのできる人になれるかに心をくだくことだと思います。

 

 あなたが人に誇れるものを持ちたいという気持ちは、程度の強弱はあるにしても誰もが持っていることと思います。そういう気持ちがあるから、私たちは目標を見いだし、そこに向かって努力もします。成果が得られればうれしく思う一方で、どんなに努力をしても目標にかなわず、失敗や挫折をする苦しさも味わいます。

 

 大切なのは、成功も挫折も自分が受け入れることを原則とすることです。それを忘れるとき、むやみに、そして一方的な狭い基準で子どもを駆り立て、失敗を責めてしまうのではないでしょうか。

 厳しいことを申し上げるようですが、高校入試の結果だけでわが子を恥ずかしいと嘆く母親こそ、お子さんは恥ずかしく思っているのではないでしょうか。 

 

https://twitter.com/puchimaro/status/1528943026432712704

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