【人生相談】 60代・独身・同性愛・人生を思う

ソース元:

[人生案内]60代・独身・同性愛…人生を思う

2021/09/24 05:00

https://www.yomiuri.co.jp/jinsei/20210923-OYT8T50020/

こんな回答できない。すごいなー https://t.co/ttre7SmJpt」 / Twitter

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人生相談

60代・独身・同性愛・人生を思う
 60代の独身男性。同性愛者です。最近、思うことがあります。
 仕事は定年退職しますした。すでに両親もなく、今では気ままな人らしです。年金収入とこれまでの蓄えがあり、生活に困ることはありません。
 過去には何度か結婚話も持ち込まれました。しかし自分の性癖をわきまえ、固辞してきました。私は自分が同性愛者であることを隠したまま、女性と結婚することならできなかったのです。
 ただ、この年になって、若干のさびしさも覚えるようになりました。家族をもつという選択をせずに、私はこのまま生涯を終えることになるでしょう。「自分の人生とは何だったんだろう」と、考え込んでしまうこともあります。
 何かアドバイスをいただけたらと思い、投稿しました。よろしくお願いします。
    (東京・U男)

いしい しんじ (作家)
 簡潔な文面に、自負がにじんでいる。60年の航海をほぼひとりで乗りこえてるた人間の、知恵、思慮深さ、覚悟を感じる。
 みずからのこしかたに疑念を抱き、ほかの生きかたもあったのでは、と思いをはせる。年を重ねたぶん、視野は広い。客観的な判断力もそなわっている。
 わかっているはずだ。あなたには、それ以外の生きかたはできなかった。まわりに流されず信念をつらぬいた。その結果いまの満ち足りたあなたがいる。それは誇るべきことだ。
 家族をもつことが即充足を意味しない。「選択」などできず、否応なく、現在の境遇に甘んじるほかないものも多い。名ばかりの家族より、素直に「同性愛者です」と告げる告げるあなたのほうがよほど「愛」に恵まれている。
 そうして、あなたの生はまだ終わりではない。今後は、その胸にたたえた「愛」を、同性異性問わず、まわりに分け与える暮らしを心がけてみてはどうか。あなたの知恵、配慮、才覚により、生まれかわる思いで生に目ざめるひとは、きっと少なくないはずだ。
 分かち合うと、「愛」は減らない。かえって、倍々に増えてゆく。それがつまり、「愛する」喜びではないだろうか。

 

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